烏山頭水庫

13日は宮崎映画祭で、「海角七号」が上映されたんですよねえ。評判はどんな感じだったんだろう。
1本の映画をこんだけ気にしている私も、奇特だなあと思いますが(笑)。閑話休題。出だしから閑話って。


墾丁への旅計画中に、地図を眺めていると、高速道路3号線には「烏山頭」のインターチェンジがあることを発見。


烏山頭ダム…はこんなところです。

Wikipedia 烏山頭ダム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%83%8F%E5%B1%B1%E9%A0%AD%E3%83%80%E3%83%A0

八田與一という技師により策定されました。

Wikipedia 八田與一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%94%B0%E8%88%87%E4%B8%80


八田氏は、Wiki中にもあるように、台湾では「認識・台湾」の中で学習するので、知らない人がいないくらい著名な日本人です*1。かつては日本ではあまり知られてないなんて言われてましたけど、昨今はそこそこの知名度を得てきたのでしょうか*2
国府が台湾にやってきてから、日本の碑や銅像がことごとく破壊されていくなか、必死でその銅像を守ってくれた方々がいたのだそうで。そのくらいにものすごく尊敬されている技師さんなんですね。


その方の作ったダムを一目みたいなあ、と思って言ってみたら、「行きやすいし、いいよ」と安直に決定。


ちょっとだけ眺められればと思っていたんですが、保護区になっていて、いきなり入園料取られました。あいたたた。一人200元。周辺は西拉雅国家風景区となっていて、そのうちの烏山頭風景区として整備されているのですな。その整備費用という名目。
中にはキャンプ場や、親水公園が整備されています。宿泊施設もある。


◆西拉雅国家風景区 このなかに烏山頭の案内もあります。
http://www.siraya-nsa.gov.tw/sub.aspx?a=0004420


  

碧い、何とも美しい湖が広がってた。
これは西側から東に向かって眺めた景色で、このずーっと奥に向かってまだまだ複雑に入り組んで広がっています。
土砂が堆積しないような工法を使って建設したので、完成から80年ほど経った今でも現役で活躍できているんだって聞きました。


記念館もありました。



こちらが、台湾の人が守ってくれていた銅像。彼が考え事をするときのしぐさなのだそう。

後ろにあるのは、與一と、彼がなくなったあと、終戦直後にこのダムに身を投げてしまって死んでしまった奥様のお墓。



與一は今どんな目線で眺めているのかな、と思って銅像の視線の先を撮ってみた。

自らが作り上げたダムを見守ってます。



本当は、別の動物園にでも行って残りの時間をすごそうかと思ったんですが、併設の親水公園が楽しそうだったので、そのまま遊ばせることにしちゃいました。


ちょーっと水が緑色なのが、おかあさん的には気になるのですが…ははは。何でだか子どもたちはえらくこのプールが気に入って、「また連れてきてねー」と言うほどに。どうかな…そんなに気安く来れる距離ではないことは…わかってないよね(笑)。



こうして美しい湖と、楽しいキャンプ場と、にぎやかな親子の遊ぶ声と、今ここが人々の憩いの場になっていることに、ほんのりと温かな気持ちをいただきました。


八田のような日本人がいた…。そのことは、私たちにとって、少しばかりの慰めを与えてくれるような。そして、いつまでも日台の絆を深めるキーとなってくれることを願いました。


かと言って。八田の功績をことさらにとりあげて、「日本が台湾のことを慮って、台湾にとっていいことばかりしてきた」と喧伝するのは、まったく違う、と思うんです。そもそもこの事業だって、当然「日本のため」にしたことで、結果として台湾に大きな遺産を残せたにすぎない。台湾の人が、八田に恩義を感じ、今でも慰霊祭をしてくれるまでに大切にしてくれている…。そのことを日本人の私たちはありがたく受け止めるくらいしかできないと思うんですよね。自分たちの方からことさらにそれを誇るのは、絶対に違う。


こちらに来てから、あちらこちらに、本当にお散歩の範囲にさえ日本の旧跡がごろごろしているのを見るようになって、何という温度差だろう、って思った。戦後、日本はもはや日本ではなくなった台湾をどんどんどんどん忘れていくばかりではなかったのか、と。私自身はその隙間を埋めたくて、いろんな本を読んだり、ネットソースの文章も読んだり、こうして日本の旧跡があると、なみなみならぬ熱意で見に行ってしまったり。


台湾は確かに「親日的な」国ではあります。ですが、今はその後ろにある複雑な、何とも複雑な思いを感じないではいられないのです。


そういう思いに直に触れられるところに来ている、そのことは本当に私の人生に取って大切な貴重な時間になることは間違いないだろう、そう思って日々を過ごしています。


もっともっと台湾のことを知りたい。

*1:mixiでアルバムに写真を入れていたら、説明するまでもなく、いち早く台湾人のマイミクさんが反応してくれました

*2:私の周囲には彼を知っている人ばかりですが、母集団に相当な偏りが(笑)