「海角七号 君想う、国境の南」

さて。こんなにも「海角」「海角」と言いまくっている私が日本に帰り、「海角七号」を見に行かないなんてことがあるでしょうか……


と言いたいところなんですが、映画館に行く日をばっちり決め込んで、子どもたちにもバーターの映画を見せ*1、準備万端、さあ待ちに待ったこの日!!と出かけたところ、上映中に下の子が強烈なじんましんを発症させまして、映画の2分の1しか見られないというトホホな事態になってしまいました。映画館の中が暑くてかゆみがましてしまったようなんですよね。残念。


2分の1だけ見られた日本語字幕付の「海角七号」はどうだったかというと、なんだか字幕が私が思っていた訳と違うみたい。それは私の中文能力が悪いのか、字幕の文字数の制限のせいなのか。聞いていたところでは、台湾語の部分ではもっと激しくスラングを使っているようなんですが、かなり大人しい丁寧な訳語を使ってましたね。
台湾語には字幕の前に「・」をつけるという工夫もしてありました。
それで台湾の豊かな言語環境の一端でも日本の鑑賞者に伝わっていたら幸いだなあ。視覚情報だけでは言語の切り替わるところそのものの面白さが伝わりきらないかなあ……なんてことも頭をよぎりました。話合いの場で一生懸命になって友子の前で思わず台湾語でやり取り、友子が疎外感を感じたり、ドラムのカエルくんが、普段は台湾語を使っているけれども、重要な話をするときには國語にならざるを得ない……なんていうシチュエーションで、彼が外省人二世であることをほのめかしていたり、鑑賞する上で言語がとっても重要な映画なんですよね。


感動のラストシーンは見ることができず、肩を落としながら帰ったのですが、頭の中で反芻しつつ、この小さい台湾島の上にある複雑な民族と伝統と文化と、それが調和したときに織り成す美しい虹のことを考えながら、思わず電車の中で涙してしまった一日でした。


今は地方での上映を中心に行われているようです。DVDで、と考えている方もいらっしゃるのかもしれませんが、この映画、スクリーンで見ることをまずお薦めいたしますよ!まだまだチャンスのある方はぜひに。