でもって調子にのって九分に行く

この映画を見た直後、だんなさまが急に平日休みになってしまったのでした。じゃあ、子どもが学校に行っている間、どっか連れてけー!、とばかりに、この映画の舞台九分に行くことに。


台北からは高速使って1時間くらい。途中で九分から台北に向かう長距離バスと何度も行き交った。きっと毎日相当な本数の便が台北から九分に向かって走っているんだろうね。前に行った人からは80元(約240円)くらいと聞いたような気がしますが。


まずは九分の町をちょっと行き過ぎて、お隣の「金瓜石」を訪れました。こちらでは旧金鉱を観光資源として整備して、「黄金博物園区」としています。金瓜石はかつて日本軍の捕虜収容所があったことでも有名です。あと、「千と千尋」の温泉場のモデルの一つらしいね。


遠くに見えるのは道教の寺院で、銅像関帝。その下のお家の屋根が黒いのは、アスファルトを塗って防水しているのだとか。お家は元々は金鉱山の鉱夫たちが暮らした家。*1



当日は月曜日で、黄金博物館は休館。なんだー。ふらふらと歩いてその辺のコーヒー店でコーヒーをいただくと、中に金粉が入ってました。今は金が採れないのにねえ。


こちらの町は、本当にひっそりしていて、往年はすごく栄えた町だなんて到底信じられない気持ち。コーヒーをいただきながら、だんなさんと台湾が50年もの間、日本であったこと、しみじみ語りあってました。*2


さてさて、そろそろ九分へ。金瓜石から九分は車で5分強と行ったところ。九分のエリアに入ってくると、急に駐車場の客引きが目立ち始めます。
山沿いの町なんで山の下に停めて上っていくか、山の上から下っていくかのルートをチョイスするわけですが、上の方がよりにぎやかそうだったので、上から下へ行くことにしました。


入ってすぐの基山街。九分を東西に走る道。狭い路地の両側にぎっしりお土産屋さんが並んでいます。小吃だとか、下駄屋さんだとか、雑貨屋さんだとか。平日だけど、人多いなあ…と思ってたら、道行く人はほとんど日本語だった。あー、そういえばゴールデンウィークでしたね。



基山街は途中で南北を走る藍崎街という道と混じります。



この道に悲情城市のスポットがたくさんあるのだね。
階段状になった通りです。にぎやかな尾道みたいだな。


悲情城市の看板と、劇中に出てくる料理店「小上海」



小上海の脇には、かつて映画館だった「昇平戯院」の跡が。「恋々風塵」の映画看板が掲げてありますが、中は完全に廃墟となってしまっていて、入れません。



どうにもあまりにもにぎやかで、つい最近「悲情城市」を見た身には少し残念な気持ちも。昨年末くらいに侯監督自身が「九分が私の映画によって、あのような観光地になってしまったことだけは残念」と言っていたことが報道されていたから、わかってはいましたけどもね。


それでも、海は変わらんのですね。


さて。気を取り直し、いっそ観光地九分を楽しもうではないか。
というわけで、人気の茶芸館におじゃま。


↓こちら

九分茶房
台北縣瑞芳鎮基山街42號


何だかだらだらとお茶を楽しんでいたので、お店の写真をあまり撮っていなかった…
九分の中でもとりわけ古いお家を改装して、茶房にしているという趣のあるお店です。山の上にある旧家らしく、1階から入って、下に降りていく構造。オーナーは芸術家だということで、ところどころの装飾もセンスがきらりと光ります。


オーナーオリジナルだという茶器といろりで炭起こしで沸かすお湯。
 


 これは伝票がわりのぬこ。味のある顔ですな。帰りの際にこれをお会計場にもっていくと、番号どおりの伝票が出てきて精算していただけます。



阿里山高山茶とお茶菓子を2種類ほどいただきました。
左 山芋まんじゅう 右 茶羊羹 です。


 

山芋まんじゅう、ほんのり温かでおいしかった…羊羹も花の香りがしていた気がするが、はて?何の香りだったのだろう。


眺めのいい、外の観光地の喧騒が届かないゆったりとしたよい茶房です。


そして、子どもたちの学校が終わる前に、とそそくさと九分をあとにしたのでした。



追記


九分を舞台にしたドキュメンタリー映画があるのだそうです。

◆「風を聴く」「雨が舞う」
http://www11.ocn.ne.jp/~cr21/movietop.html


「風を聴く」が九分を舞台にしたもの、できたて続編「雨が舞う」が金瓜石を題材にしているようですね。

「風を聴く」の方は、私の知人が2名すでに鑑賞していて、双方ともとてもよかった、と感想を聞かせてくださいました。近日、横浜にて「雨が舞う」と同時に上映されるようですので、台湾に興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょう。

*1:鉱夫はいないけど、今でも普通に住んでいる方がいらっしゃいます

*2:わがだんなさんは日本人ではないので、尚更そのことはよく知らなかった