「海角七号」

思い返せば、去年のちょうど今頃、このタイトルのエントリでブログを正式にはじめたのでした。
あの頃は、これだけの映画だもの、必ず日本に届く!と信じようとしながらも、やはり著名な俳優も出演していない、新人監督の第一作目の、日本で公開実績がほとんどない純台湾資本映画、そういった様々な障壁のことばかり考えてしまって、本当に日本公開が実現するっていう確信は得られないまま。ともかく日本の人にもこの映画の存在をほんのすこーしだけでも伝えられたらなあ、という思いでいたんですよね。
あれから1年。本当の本当に日本の劇場で「海角七号」(はいじゃおちーはお。私にはやっぱりこの音がしっくりきます)が、日本語の字幕つきで上映されるなんて、感慨ひとしお。


当面明日から公開されるのは、東京シネスイッチ銀座と福岡で。大阪が来年1月9日からで、あとは全国順次ということ。公式ページで皆さんのお近くの劇場をご確認くださいませ。今のところまだ1県1館には達していませんが、当初よりはぐんと館数が増えており、これも感慨深いですよ。


◆「海角七号 君想う、国境の南」公式ページ 劇場一覧
http://www.kaikaku7.jp/theater/



公開が決まって、改めて、魏監督の映画撮影時の意気込みや苦労話、この映画にかけていた熱い思い、また出演者たちもまた抱いていた熱意に「日本語で」触れることができ、それらを踏まえて今日久々にDVDを見てみました。日本公開記念上映会(会場自宅、観客一人)ですね(笑)。

やっぱり……いい!何度見ても。
台湾南部のあののどかな風景、人々。出てくるキャラクターたちの個性は短い時間の中でも引き込まれるように描かれていて、笑いあり涙あり、だけどどたばたはしていない。音楽もちゃんと場面に合っていて印象的。

そして、60年前と現代と、平行して交わらずに進んでいく物語が、ラストで「あの歌」を媒介してつながっていくときの感動ったら。

粗削りでラフなところもあるけれど、何より作り手の情熱がバシバシあふれ出してくるような映画ですよ。


気楽にポップコーンかじってドリンク飲みながら、今まで台湾を知らなかった人は「台湾」を知ることが、台湾を知っている人にはもっと知って好きになることができる映画だと思います。
もうぜひぜひ見てください。1年中これしか言ってないけれども。見ないともったいない。ビデオで見た人も大画面で見てください。


どうか日本の皆さん、「海角七号」をよろしくね、とあたかも娘をお嫁に出すような気持ちの今です(笑)。視点がどうしても台湾側になるなあ、と感じる昨今。


興行の成功を祈りつつ、「海角七号」に始まり「海角七号」でこの1年を終えたいと思います。
皆様よいクリスマスを。そしてよいお年を。