原班人馬 Happy Together

8月8日、南部で大雨が降っている真っ最中に、実はコンサートに行っていました。
その後のニュースがあまりに悲惨で、日記書くのをちょっと躊躇していたのですが…とてもすばらしいコンサートだったので、書くことにします。


今年の9月から台北で行われる聴覚障害者オリンピック(聴奥)の開催イベントとして、8月は聴奥芸術月と銘打って台北小巨蛋で数々のイベントが行われます。その第一弾がこの「原班人馬 Happy Together」演唱會。かつての聴奥で、台湾原住民*1出身の歌手(誰だろう…)がオープニングイベントで歌い、世界に感動をもたらしたことを記念して、台湾の原住民族にルーツを持つ歌手が一同に会してのコンサートです。


出演は(一部繁体字を日本の常用漢字を使用して表記しています)

張恵妹…日本でも有名な、台湾のトップスター"阿妹"。プユマ族アミ族ミックス。

SAYA…阿妹の妹。今回は、オープニングでちょこっとダンスを披露。

TANK…アミ族プユマ族ミックス。ただいま売り出し中の若手歌手。

温嵐…タイヤル族出身の女性歌手。

羅美玲…タイヤル族出身の女性歌手。

戴愛玲…パイワン族出身の女性歌手。

動力火車パイワン族出身の男性2人のユニット。もうベテラン。

同恩…アミ族出身の女性歌手。范逸臣と同じレコード会社なんでよく一緒に仕事をしているのを見ます。

紀暁君…プユマ族出身の女性歌手。

家家…紀暁君の妹。ソウルフルな歌い方です。

王宏恩…ブヌン族出身の男性歌手。

盧皆興…プユマ族出身の男性歌手。

A Lin…アミ族出身の女性歌手。

范逸臣…アミ族出身の男性歌手。本日のお目当て(笑)。「海角七号」の主役を務めました。


と「原住民」と言っても、それぞれに異なる部族の出身です。


それにしても、みんな台湾でも超実力派の歌手ばかり。こんな豪華メンバー、もうラインアップ見ただけでも倒れそう。
彼らは普段の生活でも歌い、踊り、という機会が非常に多いらしい。だから、優れたリズム感、音感、ものすごい声量、歌唱力を身につけるんですな。時には、マイクの性能が足りてないんではないか、と思われるくらいの迫力ある声。出演者全員でコーラスをしたときなど、そのハーモニーの美しさに思わず身震い。涙だだ漏れ、でしたよ。


それぞれ自分の持ち歌は1曲程度しか歌わず、あとは中文歌詞ではありますが、原住民伝統の歌曲を中心に披露してくれました。


阿妹が范逸臣とTANK、王宏恩のトリプルギターを従えて、(多分)プユマ語の曲を歌ったのは、めちゃくちゃかっこよかった!


コンサートの観客も老若男女それぞれで、私の隣は20代の娘さんとそのお母さんが見に来ていました。お母さん、もう50過ぎの方だと思うんだけど、ノリノリ(ちょっと死語・・・かな)で、(まあ、私もそこそこいい歳な訳ですが)娘さんと一緒に歌い踊りまくっておりました。


エンディングでは各部族のダンサーも舞台にあがり、観客もみんなで踊ってあたかも豊年祭。観客はおそらく8千人くらいはいるでしょうから、もうにぎやかで楽しい!あの一体感はなかなか体験できないもの。
その一体感にやはり出演者の方も感極まってしまったのか、動力火車の尤氏が舞台の上で泣き崩れてしまいました。


スペシャルイベントなので、もうなかなかこのようなコンサートは難しいと思うのだけれど、これだけのパフォーマンス力のあるミュージシャンの舞台、また見てみたい!


そして…
このコンサートのあと、彼らは静かに黙祷を捧げていたようです。
彼らの出身部族を見れば、ほとんどが今回の台風で被災をした地域で生まれ育ったのだろうと想像できます。
きっと、舞台にいる間もふるさとのことを胸の奥で心配していたに違いない。
そんななか、すばらしいパフォーマンスを見せてくれたことに、深く感謝です。


加油台湾!


◆追記◆
あれ?!
どうもtwitterのAmeiprojectさんに阿妹はプユマ族アミ族のダブルではない、とご指摘いただいたようです…
http://twitter.com/ameiproject

上記の出身部族一覧は当日配られていたパンフレット片手にふむふむと打込んだものでして、台湾のことですから、情報がいい加減なのかもしれません(←失礼)。
というわけで、上記出身部族の記述は当日のパンフレット参照である事をここに明記し、かつあまり信用が置けないです…と追記しておきます。


いずれの方も両親のどちらかあるいはどちらもが原住民族の血を引いているということは確かです。

*1:何度もしつこい、という向きもあるかと思いますが、初めての方もいるかもしれないので。「高砂族」であるとか「高山同胞」であるとか、外来の人々につけられた呼称を拒否して、彼らが自ら選び取った呼称であるので、私は彼らに対しては「原住民」という表記を使います。